孫 登(そん とう)は、中国三国時代の隠者。字は公和。どこの人か分からず、家族もない。夏は草をあんで下袴とし、冬は髪で身体をおおっていた。『易』を読み琴をつまびくのが好きで、会った者は皆、彼に親しみ楽しんだ。宿をとった家ではつねに彼の衣服・飲食を提供したが、むりに辞退することはしなかった。魏の嵆康は汲県の北方の共北山の山中で薬を採取しているとき、洞穴の中で孫登に出会った。嵆康が処刑される時、平然とした態度で琴をつまびいて「古典音楽はここで絶えるであろう」と言った。